生活保護を考えている方必見!車や医療費、家賃のこと【2024年度版】
生活保護の受給条件やメリット・デメリット、実際に受けられる扶助制度などを解説します。今、生活に困っているという方は参…[続きを読む]
特にモラハラやDVに悩んでいる場合、離婚せずとも一時的に避難するために別居することを選ぶことがあります。
そうでなくても、「離婚を決める前に、一度離れてみよう」などと夫婦で相談した結果、離婚しないで別居をしてみる家庭もあるかもしれません。
働いている女性の方なら、別居後も金銭的な困難に直面せず、精神的な安定を得られる可能性はあります。
しかし、これまで専業主婦だった場合や、幼い子供がいる場合、生活はかなり苦しいものになることが予測できます。仮に兼業主婦であったとしても、別居をした後はこれまで通りの仕事ができなくなることも考えられます。
このような苦しい別居生活の中で、「生活保護」を受けることはできるのでしょうか?
離婚しないで別居した場合のお金の問題は、どのように解決すれば良いのでしょうか?
この記事では、離婚しないで別居した場合の生活保護の受給可能性や、家庭内暴力(DV)やモラルハラスメント(モラハラ)が関与する場合の解決策について考えていきます。
結論から言えば、離婚しないままでも生活保護を受給できる可能性はあります。生活保護を受けられる条件に「未婚であること」などというものはありません。
実際に、専業主婦が離婚しないで子どもと一緒に別居し、生活保護を利用する状況は存在します。さらに言えば、結婚して同居している場合に旦那が働けない状態となった場合でも、生活保護を受けられることはあるでしょう。
しかし、生活保護の受給には他の特定の条件が必要です。
ざっくり言うと、生活保護を受けられるのは、「世帯全体の収入が最低生活費である13万円より少ないこと(自分自身でそれだけの収入を確保できない)」と、「親族からの支援を得られない場合」に限定されます。
親族から支援を受けられない理由としては、親族も困窮しており経済的に頼れない、長期間の連絡不通などが含まれます。
一方で、経済的に安定している両親や親戚がいる場合、通常はそこからの支援を求められ、その支援が可能な場合は生活保護の受給は認められません。
さらに、法的に夫婦間には相互の扶養義務があるため、別居中であっても夫が妻を扶養可能な状況(婚姻費用を受け取れる状況)なら、妻は生活保護の条件を満たさないことが多いです。
とは言え、受給可能性が0というわけではありません。離婚しないままの別居をお考えの方は、一度窓口で相談をしてみることが重要です。
生活保護を申請する時、「扶養照会」が行われるケースがあります。
扶養照会とは、生活保護を申請した親族に、生活保護を受ける前に支援ができないか?を確認するための通知です。別居している配偶者(扶養義務者)がいると判明した場合は、扶養義務者が援助できる可能性があるかどうかを調査されるのです。
通常、扶養照会に大きな問題は生じません。
しかし、別居の理由がDVやモラハラなど特別な事情がある場合では、心配事が出てきます。
例えば、申請者が以前に配偶者からDVを受けていた場合、扶養照会を通じてその居所が明らかになることで、最悪の事態として家に押しかけられたり、無理やり家に連れ戻されるリスクが考えられます。
こうしたケースでは、「夫のDVから逃げるために家を出た」などの事情を事前に話すことで、扶養照会を行わずに済むことが多いです。
「扶養義務の履行が期待できない」と判断された場合は扶養照会が実施されない可能性があり、特に夫の暴力から逃れてきた母子、虐待などの経緯がある者などは 扶養照会をしても支援を期待できないと判断されるのです。
先述の通り、別居中でも婚姻費用が受け取れると判断されれば、生活保護の受給はできません。
そこで、離婚しないで別居しているならば、まずは夫から生活費(つまり「婚姻費用」)を請求することを試みる必要があります。
婚姻費用とは、夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用のことを指します。具体的には、食費、住居費、教育費、医療費、衣料費、光熱費など、日常生活にかかるすべての費用が含まれます。
婚姻費用の負担については、日本の民法第760条に規定されており、夫婦はその資力(収入や資産)に応じて、これらの費用を分担する義務があります。
離婚を前提とした別居中であっても、経済的に弱い立場にある配偶者や子供のために、収入の多い側が婚姻費用を負担することが一般的です。
婚姻費用の金額は、夫婦と子どもの生活水準に基づいて、全ての事情を考慮して決定されますが、家庭裁判所は「婚姻費用算定表」を利用して金額を決定することが一般的です。
仮に夫婦間で婚姻費用の分担について合意ができない場合は、家庭裁判所に仲介を求める「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることになります。この調停で、裁判官と調停委員が夫婦の収入・支出・資産などを考慮しながら解決案を提示します。
しかしながら、調停をしている間にも生活は続きます。生活費が足りない場合、また調停後も旦那が支払わないという場合も考え、生活保護についても並行して検討をするようにしましょう。
特に、別居の理由がDVやモラハラであるならば、相手方の配偶者との直接の交渉は避けるべきです。スムーズな婚姻費用請求のためにも、弁護士にご相談ください。
この記事では、離婚せずに別居している状況で生活保護を受けることができるかについて解説しました。
夫や両親からの経済的支援が期待できず、子供がいるなどの理由で十分に働けない(収入が少ない)主婦の場合は、生活保護を受けられる可能性があります。
また、DVやモラハラが別居の理由である場合は、扶養照会を行わないなどの配慮がされ、生活保護を受けられるケースもあるでしょう。
通常の別居ならば婚姻費用の支払いを請求することが第一ですが、仮に生活保護の受給が可能なケースではきちんと申請を行うべきです。
ご自身での対応が難しいと感じる場合は、離婚問題に強い弁護士にご相談ください。
また、「子どものためを思い離婚しない方が良いと考えている」「夫の報復が怖くて離婚できない」というDV・モラハラのお悩みも、どうぞ弁護士にご相談ください。安全に別居する方法や証拠の集め方など、今できることについて丁寧にアドバイスいたします。